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  1. 酸素中毒
  2. 副腎皮質ホルモン製剤の比較
  3. 20mm以下の肺癌
  4. 自然気胸の胸膜癒着療法
  5. CO2ナルコーシス
  6. レニン
  7. ヴェンチュリーマスク
  8. 喀血(気道内出血)に対する気管支動脈塞栓術(BAE)
  9. インスリン治療の現在
  10. Respiratory Index (その1)

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研修医宿題

インスリン治療の現在

石井 亘


インスリン治療の導入

一型糖尿病:急性発症時には、速やかに導入していく必要がある。
二型糖尿病:インスリンを導入する必要があるのは以下の通りである。
・ ケトーシスや極端なやせなどのインスリン不足.
・ 肝障害、腎障害時.
・ 経口血糖降下剤にて十分にコントロールできない時.
・ 妊娠中、妊娠希望時の血糖正常化.

主なインスリン製剤の作用動態

 正常なインスリン分泌は、基礎分泌と追加分泌に分けられる。

基礎分泌:食事の前や夜間就寝中などの血糖が低いときにも、微量のインスリンは分泌され続けており、肝からの糖の放出が過剰にならないようにしている。

追加分泌:食事を摂取すると血糖の上昇とともにインスリンは速やかに分泌されていき、ブドウ糖が速やかに肝臓や末梢の組織に取り込まれる。

一般的に、速効型・超速効型インスリンは追加分泌の補充に、中間型のインスリンは基礎分泌の補充に使用される。効果が始まるまでの時間とピークと持続時間は以下のようになる。

作用発現時間最大作用発現時間作用持続時間
超速効型インスリン0.25hr0.5~1.5hr3-5hr
速効型インスリン0.5hr1-3hr8hr
混合型インスリン0.5hr2-8hr24hr
中間型インスリン1.5hr4-12hr24hr

 一日一回のインスリンの注射では、正常なインスリン分泌パターンを得ることは不可能である。インスリン分泌が枯渇した一型糖尿病では、食事前に速効型や超速効型インスリンを注射して追加分泌に相当する分を補充して、就寝前に中間型などで基礎分泌を補う必要性がある。また他に持続皮下注ポンプを使用することもある。

 インスリン分泌が残存している二型糖尿病に対しては、各食前の速効型・超速効型にて追加分泌を補充する方法や、一日1回~2回の中間型や混合型にて全体的にインスリン血中濃度を上げておくような方法がある。

 ここでインスリンの種類を紹介する

カートリッジ キットバイアル
持続型(-) (-)

ノボリンU

ヒューマリンU

中間型

ペンフィルN

ヒューマカートN

ノボリンNフレックスペン

イノレットN

ヒューマカートNキット

ノボリンN

ヒューマリンN

混合型

ペンフィル10R-50R

ヒューマカート3/7

ノボリン10R-50Rフレックスペン

イノレット10R-50R

ヒューマカート3/7キット

ノボリン30R

ヒューマリン3/7

速効型

ペンフィルR

ヒューマカートR

ノボリンRフレックスペン

イノレットR

ヒューマカートRキット

ノボリンR

ヒューマリンR

超速効型

ノボラピッド

ヒューマログ・カート

ノボラピッドフレックスペン

ヒューマログ・キット

ノボラピッド・バイアル

ヒューマログ・バイアル

インスリン投与法の種類

 インスリンの投与法には、一日一回から4回まで様々であり、また持続注入ポンプを使用することもある。大きく分けると、頻回注射やポンプで正常のインスリン分泌パターンに近づける頻回インスリン注射療法と、一日1~2回の注射でコントロールする従来法がある。前者の場合、血糖自己測定を行い、インスリン投与量を調節していくことが必要となる。

(1)強化療法(頻回注射法)

適応としては、一型糖尿病、厳格な血糖コントロールを必要とする二型糖尿病・妊娠中毒症.
各食前速効型+就寝前中間型
各食前超速効型+就寝前中間型
各食前超速効型+朝・就寝前中間型(or昼・就寝前中間型)
速効型によるCS持続注入+食前ボーラス
各食前速効型
各食前超速攻型
朝昼速効型+夕混合型

(2)従来法:適応としては、上記以外の糖尿病

混合型朝夕2回
中間型朝1回

インスリン投与量の調節法

 インスリン投与量の調節のためには、血糖自己測定が重要であり、特に強化インスリン療法では最低一日4回の血糖測定を行い、調節していく。調節法には2通りの方法がある。

 Retrospective:血糖の動きを振り返って量を決める後ろ向き調節。通常血糖が比較的安定しているときは、2日ほどの血糖の動きを見てから高すぎるあるいは低すぎる時間帯に効いているインスリン量を調節する。

Prospective:インスリン必要量を予測する前向き調節。測定した血糖値によりその時点で注射するインスリン量を変更する。

 ここで、注意しなくてはならないのは、朝食前血糖値の上昇であり、これには暁現象とソモジー効果と二通り考えられる。

暁現象:夜間の成長ホルモン分泌により、明け方からインスリンの必要量が増加していきます。これに対応してインスリンが増加しないと次第に血糖は上昇していく。

ソモジー効果:反跳性の高血糖で、低血糖の後に拮抗ホルモンの影響で血糖が上昇する現象である。明け方に血糖が下がりすぎてその後血糖が上昇しすぎる場合は、夜食により血糖の下がりすぎを防いだり、就寝前の中間型を減らしたりする。


August 4, 2003

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