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  1. PaO2と酸素飽和度
  2. 交感神経の走行と解剖
  3. 局所麻酔薬の基礎知識 ~リドカイン lidocain~
  4. 降圧薬の使い方
  5. 多汗症について
  6. ジギタリス製剤の基礎知識
  7. IVH必勝法~鎖骨下静脈編~
  8. 心室肥大(Ventricular Hypertorophy)
  9. NSAIDsによるCOX-2阻害について
  10. アスピリン

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研修医宿題

交感神経の走行と解剖

山田 圭吾

【遠心性神経線維】

 第1胸髄節から第2腰髄節までの範囲の脊髄灰白質には、側角、あるいは側柱と呼ばれる部分があり、そこには交感神経系の節前ニューロンの細胞体が存在する。この細胞体からでる有髄性の軸策(節前線維)は脊髄を離れ、脊髄神経前根を通り、次に白交通枝を通って交感神経幹内にある椎傍神経節(幹神経節)に達する。この後の神経経路は次のようになる。

 (1)神経節に入った節前ニューロン軸策(節前線維)は直ちに神経節内の節後ニューロンとシナプスを形成する。この近接したニューロンの間隙を神経伝達物質の一つアセチルコリンが流れる。こうして節前ニューロンからシナプス伝達を受けた節後ニューロンからは無髄性の軸策(節後線維)が出ており、これが灰白交通枝を通って脊髄神経内に進入し、脊髄神経末梢枝の中を走行した後に血管壁の平滑筋や皮膚の汗腺および立毛筋に分布する。

 (2)幹神経節のうちで比較的高位(上胸部)のものに進入した節前ニューロン軸策は(節前線維)は、そのまま交感神経幹内を上行し、頚部にある幹交感神経節に達し、そこではじめて幹神経節を作っている交感神経節後ニューロンとシナプスを形成する。節後ニューロンの軸策(節後線維)は交感神経幹を離れる際に灰白交通枝を通り、その後多くの場合には、頚部の脊髄神経に進入する。また、下位胸髄節から第2腰髄節までの範囲に相当する脊髄部分からでた節前ニューロン軸策(節前線維)の多くは比較的低位の交感神経幹神経節(下腰部から仙骨部レベルのもの)にまで達してから節後ニューロンとシナプスを形成する。この際には節後ニューロン(節後線維)は灰白交通枝を通って脊髄神経のうちの腰神経、仙骨神経、あるいは尾骨神経に進入する。

 (3)節前ニューロンの軸策(節前線維)の中には胸部交感神経節内を素通りして、大、小、および最下内臓神経を形成するものがある。大内臓神経は第5~9胸部交感神経幹神経節細胞から起こるものであって、横隔膜を貫いた後、腹腔神経叢内の神経節(腹腔神経節)の中に含まれる節後ニューロンにシナプスを介して接続する。小内臓神経は第10~11胸部交感神経幹神経節から起こり、横隔膜を貫いた後、腹腔神経叢の下端部付近の横隔神経節部分に含まれる節後ニューロンにシナプスを介して接続する。最か内臓神経は第12胸部交感神経幹神経節から起こり、同様に横隔膜を貫いた後、腎神経叢内の腎神経節に含まれる節後ニューロンのシナプスを介して接続する。すべての内臓神経が交感神経系の節前線維よりなることに注意すべきである内臓神経内に含まれる節前線維とシナプスを介して接続した節後ニューロンは、内臓の平滑筋や腺に分布する。大内臓神経の中に含まれる節前線維のうち一部は副腎髄質細胞表面に直接終末するが、副腎髄質細胞は交感神経系の節後ニューロンが変形したものと見なしうるものである。

 交感神経幹、脊柱全長の両脇に一本ずつの交感神経幹(神経節のための膨らみを備える)が存在している。同幹の頚部領域には3個、胸部領域には11~12個、腰部領域には5個、仙骨部領域(骨盤内)には4~5個の幹神経節がある。左右の交感神経幹は脊柱に近接しており、脊柱下端のところでは1個の不対神経節につながる。

【求心性神経線維】

 内蔵からの感覚を伝える有髄性の求心性神経線維は交感神経節を素通りして、白交通枝を介して脊髄神経内に入り、その脊髄神経が属する髄節の高さの後神経節の中に含まれる神経細胞体に達する。同じ細胞体からの、中枢に向かう軸策がその後脊髄に入り、脊髄内での内臓反射路の形成にあずかったり、あるいは脳の自律神経中枢にまで上行したりする。

参考文献:

スネル臨床解剖学 第2版 MEDSI

図解解剖学事典 第2版 医学書院


September 10, 2002

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