研修医宿題
非小細胞肺癌の補助化学療法
田中 良一
臨床試験の分類
Phase 1 (第一相)・・・毒性・安全性の検討 |
Phase 2 (第二相)・・・効力の検討 |
Phase 3 (第三相)・・・有効性・標準治療の決定 |
エビデンスレベル分類と推奨グレード
エビデンスレベル ⇒ 推奨グレード
I | メタアナリシス |
II | ランダム化比較試験 |
III | 非ランダム化比較試験 |
IV | 分析疫学的研究 |
V | 記述疫学 |
VI | 患者データに基づかない専門家の意見 |
A | 強く勧められる |
B | 勧められる |
C | 根拠が不明確 |
D | 行わないように勧められる |
I~III期非小細胞肺癌の治療ガイドライン
術後化学療法については、肺癌診療ガイドライン2003では、I, II期はグレードC(行うよう強く勧めるだけの根拠が明確でない)。IIIA期でもグレードCであった。
これが複数の臨床試験の結果、2004年のパラダイムシフトを経て、肺癌診療のガイドライン改定案ではI, II期の術後化学療法はグレードA(行うよう強く勧められる)、IIIA期はグレードB(行うよう勧められる)となっている。
非小細胞肺癌に対する抗癌剤とその歴史
非プラチナ製剤(旧薬)・・・5-FU、MMC、VDC(ビンデシン/フィルデシン)、DXR(アドリアマイシン)、VP-16(エトポシド/ペプシド)
プラチナ製剤(1980より)・・・CDDP/Cis(シスプラチン/ランダ・プリプラチン)、CBDCA/Cb(カルボプラチン/パラプラチン)
90年代新薬…DOC/TXT(ドセタキセル/タキソテール)、Pac/TXL(パクリタキセル/タキソール)、GEM(ゲムシタビン/ジェムザール)、VNB(ビノレルビン/ナベルビン)、CPT-11(イリノテカン/カンプト/トポテシン)
分子標的製剤…Gefitinib/イレッサ、Erlotinib、Cetuximab(EGFR)、Traszumab/ハーセプチン、Bevacitumab(VEGF)
腫瘍細胞に特異的に発現・変化している分子標的を同定、これに対し作用する薬剤を見つける。例えば、Gefitinib やErlotinibは上皮増殖因子受容体(EGFR)を特異的に阻害することで、その作用を発現している。
プラチナ製剤の特徴
シスプラチン(CDDP)
投与法・注意点→2時間以上かけて点滴静注。生食に溶解。
副作用→腎毒性が強い。水分付加利尿必要、短時間投与禁。悪心・嘔吐強く、骨髄抑制は比較的弱い。
カルボプラチン(CBDCA)
投与法・注意点→30分以上かけて点滴静注。体表面積ではなく、腎機能(Cr/CCr)で投与量決める事が多い。骨髄(特に血小板)抑制強い。
その他の静脈内抗癌剤
ビノレルビン
投与上の注意点→血管炎強い。6-10分で投与。太い静脈が望ましい。投与後十分洗い流す。副作用→間質性肺炎、末梢神経障害。
非小細胞肺癌に使用される5-FU系経口抗癌剤(UFT/TS-1)
UFTユーエフティー・・・5-FUのプロドラッグであるテガフールであり、体内でDPDによる分解を阻害する為に、5-FU分解阻害剤としてウラシル(U)を含んでいる。奏効率は単剤で、10%以下で副作用には軽微嗅覚異常がある。治療関連死亡率は0%と報告されている。
レジメンの選択
StageIA IB→UFT
StageIIB Pac/Cb Pac200mg/m2 , Cb AUC=6
StageII, III VNR/Cis VNR25mg/m2 , Cis50mg/m2
などがある。
Feb 24, 2004
|